最後の桜

昨日は亡くなった父の誕生日だった。
生きていれば86歳。
去年の誕生日は家に連れて帰り好物の握りずしなど用意して祝った。
あれだけ家に帰りたがっていたのに いざ帰ってみると転倒が酷く自分でも辛かったのだろう「施設に帰るから連れて行って。」
あんまり可哀想なので冠梅園の上の方まで母も一緒にドライブして海を臨みながら四方山話をした。
3月末にペースメーカーの電池交換で入院している間に、桜は見ごろを過ぎてしまった。
施設の周りは桜並木になっている。
退院後に八重桜が綺麗なお天気の日を選び車椅子で花見をしたが、それが父の最後の桜の花見になった。
5月に肺炎にかかり、亡くなるまで入院生活が続いた。
入院する前に施設の周りはつつじが素晴らしく咲いていた。
「熱が下がったらまた車椅子でつつじの花見をしようね。」の言葉をすごく喜んでいたのに実現しなかった。父と約束して果たせなかった事の一つだ。
両親と一緒に生活していた時は自分の親という事もあって、結構文句を言っていた。
主人に不快な思いをさせてはいけないと思いキツク言っていた。
今思うともう少し優しくして上げれば良かったとも思うが、施設に入ってからは自然に優しい言葉に変わっていたとも思う。
思い出す事は父の笑顔と気兼ねをしていたのだろうと感じる事である。
明日は母の82歳の誕生日。
せめて母に優しくして上げようと思うが母の顔を見ると優しさを忘れる。